障害等級認定にあたっての基本的事項

 

•  障害補償の意義

労働基準法における障害補償並びに労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)における障害補償給付および障害給付(以下「障害補償」という。)は労働者が業務上(又は通勤により)負傷し、又は疾病にかかり、なおったとき身体に障害が存する場合に、その障害の程度に応じて行うこととされており(労働基準法第77条、労災保険法第12条の8及び第22条の3)、障害補償の対象となる障害の程度は、労働基準法施行規則(以下「労基則」という。)

 別表第2身体障害等級表及び労働者災害補償保険法施行規則(以下「労災則」という。)

 別表障害等級表(以下これらを「障害等級表」という。)に定められている。

  ところで、障害補償は、障害による労働能力の損失に対する損失てん補を目的とするものである。したがって、負傷又は疾病(以下「傷病」という。)がなおったときに残存する、当該傷病と相当因果関係を有し、かつ将来においても回復が困難と見込まれる精神的又は身体的なき損状態(以下「廃失」という。)であって、その存在が医学的に認められ、労働能力のそう失を伴うものを障害補償の対象としているものである。

  なお、ここにいう「なおったとき」とは、傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法(以下「療養」という。)をもってしても、その効果が期待し得ない状態(療養の終了)でかつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる、最終の状態(症状の固定)に達したときをいう。したがって障害程度の評価は、原則として療養効果が期待し得ない状態となり、症状が固定したときにこれを行うこととなる。ただし、療養効果が期待し得ない状態であっても、症状の固定に至るまでにかなりの期間を要すると見込まれるものもあるので、この場合は医学上妥当と認められる期間をもって、障害程度を評価することとし、症状の固定の見込みが6ヶ月以内の期間において認められないものにあっては、療養の終了時において、将来固定すると認められる症状によって等級を認定することとする。

  また、「労働能力」とは、一般的な平均的労働能力をいうものであって、被災労働者の年齢、職種、利き腕、知識、経験等の職業能力的諸条件については、障害の程度を決定する要素とはなっていない。

•  障害補償に係る規定の概要

(1)障害等級

   障害補償は、前記のとおり、障害の程度に応じて行うこととされており、またその対象とすべき身体障害の等級は、障害等級表に定めるところによることとされている(労基則第40条第1項、労災則第14条第1項)。したがって、障害等級表は障害程度の評価にあたって適正に取り扱われるべきものである。

   障害等級表においては、労働能力のそう失の程度の若干異なる身体障害が同一等級として格付され、また、同種の身体障害についてみると、労働能力のそう失の程度が一定の範囲内にあるものをくくって同一の等級に格付けしているものがある。

   これらは、障害等級表が労働能力そう失の程度に応じ、障害の等級を第1級から第14級までの14段階に区分していること、及び136種の類型的な身体障害を掲げるにとどまることからくる制約によるものである。

   したがって、同一等級に格付けされている身体障害相互間においても、労働能力そう失の程度に若干の相異があるものがあり、また、各等級に掲げられている身体障害についても、一定の幅のあるものが、前記の制約によりやむを得ない結果であり、障害程度の評価にあたっては、労働能力のそう失の程度が同一であるとして取り扱われているものである。

なお、障害等級表に掲げる身体障害が2以上ある場合の取扱い及び障害等級表に掲げるもの以外の身体障害の取扱いについては、次のとおり定められている。

障害等級表に掲げる身体障害が2以上ある場合は、重い方の身体障害の該当する等級によることとし(労基則第40条第2項、労災則第14条第2項)、次に掲げる場合にあっては、それぞれの方法により等級を繰り上げ、当該身体障害の等級とする(労基則第40条第3項、労災則第14条第3項)(以下これを「併合」という。)。

a 第13級以上に該当する身体障害が2以上ある場合は重い方の身体障害の該当する等級を1級繰り上げる。

 第8級以上に該当する身体障害が2以上ある場合は重い方の身体障害の該当する等級を2級繰り上げる

c 第5級以上に該当する身体障害が2以上ある場合は重い方の身体障害の該当する等級を3級繰り上げる。

  障害等級表に掲げるもの以外の身体障害については、その障害の程度に応じ、障害等級表に掲げる身体障害に準じてその等級を定めることとされている(労基則第40条第4項、労災則第14条第4項)(以下これらを「準用」といい、これにより定められた等級を「準用等級」という。)。

(2)障害補償の額

   上記(1)のa、b、又はcにより併合し、等級の繰上げを行った場合の障害補償の額は、労災保険法における障害補償給付又は障害給付であって、等級を繰上げた結果が障害補償年金又は障害年金に該当する場合(第7級以上に該当する場合)を除き、各々の身体障害の該当する等級による障害補償の額の合算額を超えないこととされている(労基則第40条第3項ただし書き、労災則第14条第3項ただし書き)。

   既に身体障害のあった者が、同一部位について障害の程度を加重した場合の当該事由に係る障害補償の額は、現在の身体障害の該当する等級に応ずる額から、既にあった身体障害の該当する等級に応ずる障害補償の額を差し引いた額とされている(労基則第40条第5項、労災則第14条第5項)。

   なお、労災保険法における障害補償給付又は障害給付の場合で、現在の身体障害の該当する等級に応ずる障害補償給付又は障害給付が障害補償年金又は障害年金であって、既にあった身体障害の該当する等級に応ずる障害補償給付又は障害給付が障害補償一時金である場合には、現在の身体障害の該当する等級に応ずる障害補償年金又は障害年金の額から、既にあった身体障害の該当する障害補償一時金又は障害一時金の額を25で除して得た額を差し引いた額とされている(労災則第14条第5項)。

(3)障害等級の変更(年金たる障害補償の場合)

   障害補償年金又は障害年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったために、新たに他の等級に該当するに至った場合には、新たに該当するに至った等級に応ずる障害補償年金又は障害年金若しくは障害補償一時金又は障害一時金を支給することとし、従前の等級に応ずる障害補償年金又は障害年金は、等級の変更のあった月の翌月から支給しないこととされている(労災保険法第9条第1項、第15条及び2及び第22条の3)。

•  等級の仕組みとその意義

障害補償の対象とすべき身体障害の程度を定めている障害等級表は、次のごとに考え方に基づいて定められている。

   即ち障害等級表は、身体をまず解剖学的観点から部位に分け、次にそれぞれの部位における身体障害を機能の面に重点をおいた生理学的観点から、たとえば、眼における視力障害、運動障害、調節機能障害及び視野障害のように一種又は数種の障害群に分け(これを便宜上「障害の系列」と呼ぶ。)、さらに各障害は、その労働能力のそう失の程度に応じ一定の順序のもとに配列されている(これを便宜上「障害の序列」と呼ぶ。)。

   障害等級の認定の適正を期すためには、障害の系列及び障害の序列についての認識を深めることにより、障害等級表の仕組みを理解することが、重要である。

•  部 位

身体障害は解剖学的な観点から次の部位ごとに区分されている。

イ 眼

a 眼 球

b  まぶた(右又は左)

ロ 耳

a 内 耳 等

b 耳 介(右又は左)

ハ 鼻

二 口

ホ 神経系統の機能又は精神

ヘ 頭部、顔面、頸部

ト 胸腹部臓器(外生殖器を含む)

チ 体 幹

   せき柱

b その他の体幹骨

リ 上 肢(右又は左)

a 上 肢

b 手 指

ヌ 下 肢(右又は左)

a 下 肢

b 足 指

   なお、以上の区分にあたって眼球及び内耳等については、左右両器官をもって1の機能を営むいわゆる相対性器官としての特質から、両眼球、両内耳等を同一部位とし、また、上肢及び下肢は左右一対をなす器官ではあるが、左右それぞれを別個の部位とされている。

•  障害の系列

上記のとおり部位ごとに区分された身体障害は、さらに生理学的な観点から、次表のとおり35種の系列に細分され、同一欄内の身体障害については、これを同一の系列にあるものとして取り扱うこととする。

 なお、下記のごとく、同一部位に系列を異にする身体障害を生じた場合は、同一もしくは相関連するものとして取り扱うことが、認定実務上合理的であるので、具体的な運用にあたっては同一系列とみなし(以下「みなし系列」という。)。取り扱う。

イ 両眼球の視力障害、運動障害、調節機能障害、視野障害の各相互間

ロ 同一上肢の機能障害と手指の欠損又は機能障害

ハ 同一下肢の機能障害と足指の欠損又は機能障害

障 害 系 列 表

    部 位

器質的障害

機能的障害

系列区分

眼  球(両 眼)

視 力 障 害

調節機能障 害

運 動 障 害

視 野 障 害

ま ぶ た

欠損障害

運動障害

 欠損障害

運動障害

内耳等 (両耳)

聴力障害

耳かく (耳介)

欠損障害

欠損障害

     鼻

欠損及び機能障害

10

そしゃく及び言語機能障害

11

歯牙障害

12

神経系統の機能又は精神

神経系統の機能又は精神の障害

13

頭部、顔面、頸部

醜状障害

14

胸腹部臓器 (外生殖器を含む)

胸腹部臓器の障害

15

せ き 柱

変形障害

 運動障害

16

その他の体幹骨

  変形障害

(鎖骨、胸骨、ろく骨

 肩こう骨又は骨盤骨)

17

上   肢

欠損障害

機能障害

18

  変形障害

(上腕骨又は前腕骨)

19

  醜状障害

20

  欠損障害

機能障害

21

  変形障害

(上腕骨又は前腕骨)

22

醜状障害

23

手   指

  欠損障害

機能障害

24

  欠損障害

機能障害

25

下   肢

欠損障害

機能障害

26

  変形障害

(大腿骨又は下腿骨)

27

短縮障害

28

  醜状障害

29

欠損障害

機能障害

30

  変形障害

(大腿骨又は下腿骨)

31

短縮障害

32

  醜状障害

33

足   指

  欠損障害

機能障害

34

  欠損障害

機能障害

35

備考 「耳かく」については、以下「耳介」という。

(3)障害の序列

 障害の等級表、上記のとおり労働能力のそう失の程度に応じて身体障害を第1級から第14級までの14段階に区分しており、この場合の同一系列の障害相互間における等級の

上位、下位の関係を障害の序列(以下「序列」という。)という。

 障害等級表上定めのない身体障害及び同一系列に2以上の身体障害が存する場合の等級の認定にあたっては、障害の序列を十分に考慮すべきものである。

 なお、同一系列における序列については、次の類型に大別されるので、それぞれその等級の認定にあたっては留意する必要がある。

 障害の程度を一定の幅で評価することから、上位等級の身体障害と下位等級の身体障害との間に中間の等級を定めていないもの

例1 

1眼の視力障害については、視力0、1以下を第10級に、視力0、6以下を第13級に格付けているので、第13級には、視力0、1をこえて0、6までの視力障害が含まれることになり、その中間にあたる視力0、4の視力障害は13級になり、視力が0、1以下にならない限り、上位の等級には格付けされない。

例2

   両眼の視力障害については、両眼の視力0、1以下を第6級に、両眼の視力0、6以下を第9級に格付けているので、第9級には両眼視力の視力が0、1をこえて0、6までの視力障害が含まれることとなり、1眼の視力0、6、他眼の視力0,1の視力障害は、第9級となる。

上位等級の身体障害と下位等級の身体障害との区別を、労働能力に及ぼす影響の総合的な判定により行っているもの

 胸腹部の障害については、「常に介護を要するもの」(第1級)、「終身労務に服することができないもの」(第3級)、「特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

(5級)、「軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(第7級)、「服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」(第9級)、「障害を残すもの」(第11級)の6段階に区分されており、その労働能力に及ぼす影響を総合的に判定して等級を認定することとしている 

障害等級表上、最も典型的な身体障害を揚げるにとどまり上位等級の身体障害と下位等級の身体障害との間に中間の身体障害が予想されるにかかわらず定めていないもの

例1

  1上肢の機能障害については「1上肢の用を廃したもの」(第5級)、1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの(第6級)、「1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」(第8級)、「1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの(10級)

、1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの(第12級)の5段階に区分されており、1上肢の3大関節中の2関節の機能に障害を残すもの及び1上肢の3大関節の機能に障害を残すものは、いづれも第10級と第12級の中間の程度の身体障害であるにもかかわらず、障害等級表上には格付けられていない。

 このように障害等級表における身体障害の定め方が最も典型的な身体障害を揚げるにとどまる場合に、上位等級の身体障害と下位等級の身体障害との等級の差が2以上である場合は、障害の序列にしたがって、中間の等級を定めることができる。

例2

  しかしながら、例えば「1上肢の用を全廃したもの」(第5級)と「1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの」(第6級)のごとく、等級差が1である場合には、障害等級表上、これらの中間の等級はないので、上位等級に達しない限り、下位等級に該当するものとして取り扱うこととなる。

 欠損障害は、労働能力の完全なそう失であり、障害等級表上、同一部位に係る機能障害よりも上位に格付けられているので、同一部位に欠損障害以外のいかなる身体障害が残存したとしても、その程度は欠損障害の程度に達することはない。

 ただし、その例外として、機能の全部そう失については欠損障害と同等に評価されている場合がある(第1級の6 [第1級の5] と第1級の7 [第1級の6] 又は第1級の8 [1級の7] と第1級の9 [第1級の8] )。

 ほかに、系列を異にする2以上の身体障害が残存した場合で、障害等級表上組み合わせにより等級が定められているものについても、その等級間にいわゆる序列に類する上位下位の関係が明らかにされている。したがって、系列を異にする2以上の身体障害のうちこれらの組み合わせのあるもの以外のものの等級の認定については、原則としての併合の方法により、行うこととなるが、上位、下位の関係に留意のうえ等級を認定することが必要である。なお、この場合、両上肢及び両下肢の欠損障害については障害等級表に組み合わせによる等級がなされているので、その等級以外の格付けはあり得ない。したがって、上位等級(1級の6 [ 第1級の5 ] 又は第1級の8 [ 第1級の7 ] に達しないものは、すべて下位等級(第2級の3 [ 第2級の5 ] 又は第2級の4 [ 第2級の6 ] に該当するものとして取り扱うこととなる。

•  障害等級認定にあたっての原則と準則

障害等級の認定にあたっては、前記2(障害補償に係る規定の概要)のとおり、法令の定めるところによることを原則とするが、なお、これが運用にあたっては、次のごとき準則により取り扱うものとする。

併合

  (1)併合(労基則第40条第2項、3項及び労災則第14条第2項、3項)の場合

イ 「併合」とは系列を異にする身体障害が2以上ある場合に、重い方の身体障害の等級によるか、又はその重い方の等級を1級ないし3級を繰り上げて当該複数の障害の等級とすることをいう。

ロ  併合して等級が繰り上げられた結果、障害の序列を乱すこととなる場合は、障害の序列にしたがって等級を定めることになる。

 ハ  併合して等級が繰り上げられた結果、障害等級が1級をこえる場合であっても、障害等級表上、第1級以上の等級は存在しないので、第1級にとどめることになる。

二  系列を異にする障害等級が2以上存する場合には、併合して等級を認定することとなるが、次の場合にあっては、併合の方法を用いることなく等級を定めることになる。

( イ )

両上肢の欠損障害及び両下肢の欠損障害については、本来、系列を異にする複数の身体障害として取り扱うべきものであるが、障害等級表上では組み合わせ等級として定められているので(第1級の6 [ 第1級の5 ] 、第1級の8 [ 第1級の7 ] 、第2級の3 [ 第2級の5 ] 、第2級の4 [ 第2級の6 ] )、それぞれの等級を併合の方法を用いることなく、障害等級表に定められた当該等級により認定する。

(ロ)

 1の障害が観察の方法によっては、障害等級表上の2以上の等級に該当すると考えられる場合があるが、これは、その1の身体障害を複数の観点(複数の系列)で評価しているにすぎないものであるから、この場合には、いずれか上位の等級をもって、当該障害の等級とする。

(ハ)

 1の身体障害に他の身体障害が通常派生する関係にある場合には、いずれか上位の等級をもって、当該障害の等級とする。

準用

(2)準用(労基則第40条第4項及び労災則第14条第4項)の場合

    イ 障害等級表に掲げるもの以外の身体障害については、その障害の程度に応じ、障害等級表に掲げる身体障害に準じて、その等級を定めることとなるが、この「障害等級表に掲げるもの以外の身体障害」とは、次の2つの場合をいう。

  (イ) ある身体障害が障害等級表上いかなる障害の系列にも属さない場合

(ロ) 障害等級表上に、その属する障害の系列はあるが、該当する身体障害がない場合

ロ この場合においては、次により、その準用等級を定めるものとする。

(イ) いかなる障害の系列にも属さない場合その障害によって生ずる労働能力のそう失の程度を医学的検査結果等に基づいて判断し、その障害が最も近似している系列の障害における労働能力のそう失の程度に相当する等級を準用等級として定める。

(ロ) 障害の系列は存在するが、該当する障害がない場合

a  この準用等級を定めることができるのは、同一系列に属する障害群についてであるので、この場合は、同一系列に属する2以上の障害が該当するそれぞれの等級を定め、併合の方法を用いて準用等級を定める。ただし、併合の方法を用いた結果、序列を乱すときは、その等級の直近上位又は直近下位の等級を当該身体障害の該当する等級として認定する。

b 本来は異なる系列のものを、同一系列の障害として取り扱っているものについては、それぞれの障害について各々別個に等級を定め、さらにこれを併合して得られる等級を準用等級とする。ただし、併合の結果、序列を乱すときは、その等級の直近下位の等級を当該身体障害の該当する等級として認定する。

加重

加重(労基則第40条第5項、労災則第14条第5項)の場合

イ  既に身体障害のあったものが業務災害(又は通勤災害)によって同一の部位について障害の程度を加重した場合は、加重した限度で障害補償を行う。

( イ )  「既に身体障害のあった者」とは、新たな業務災害(又は通勤災害)の発生前におい

  て、既に身体障害のあった者をいい、その身体障害が、当該事業場に雇用される前の災害によるものであると、当該事業場に雇用された後の災害によるものであるとを問うところでないし、また先天性のものであると、後天性のものであると、業務上の事由によるものであると、業務外の事由によるものであると、現実に給付を受けたものであると否とにかかわらず、既に身体等級表に定められている程度の身体障害が存していた者をいう。

( ロ )  「加重」とは、業務災害(又は通勤災害)によって新たに障害が加わった結果、障害等級表上、現存する障害が既存の障害より重くなった場合をいう。したがって、自然的経過又は既存の障害の原因となった疾病の再発など、新たな業務災害(又は通勤災害)以外の事由により障害の程度を重くしたとしても、ここにいう「加重」には該当しない。また同一部位に新たな障害が加わったとしても、その結果、既存の障害よりも現存する障害が重くならなければ、「加重」には該当しない。

   なお、既存の障害が、業務災害(又は通勤災害)によるものである場合は、その後の障害の程度の変更いかんにかかわらず、既に障害補償のなされた等級(労災保険法第15条の2の規定により新たに該当するに至った等級の障害補償を行ったときは当該等級)を既存の障害の等級とする。

(ハ)ここにいう「同一の部位」とは、前期3の(2)「同一系列」の範囲内をいう。

  ただし、ことなる系列であったとしても、「欠損」又は「機能の全部そう失」はその部位における最上位の等級であるので、障害が存する部位に「欠損」又は「機能の全部そう失」という障害が後に加わった場合(たとえば、右下肢の下腿骨に変形の既存障害が存する場合に、その後新たに右下肢をひざ関節以上で失ったとき)は、それが系列を異にする障害であったとしても、「同一部位」の加重として取り扱うこととする。

ロ 加重の場合の障害補償の額は、加重された身体障害の該当する障害等級の障害補償の

 額(日数)から、既に存していた身体障害の該当する障害等級の障害補償の額(日数)

 を控除して得た額(日数)とする。

  ただし、既存の身体障害が第8級以下に該当するものであって、新たに加重の結果、

 第7級(年金)以上になった場合には現在の身体障害の該当する障害等級の障害補償の年額(日数)から既存の身体障害の障害補償の額(日数)の 25 分の1を控除して得た額とする。

ハ 同一の部位に身体障害の程度を加重とともに、他の部位にも新たな身体障害が残った場合は、まず同一部位に加重された後の身体障害についてその障害等級を定め、次に、他の部位の身体障害について障害等級を定め、両者を併合して現在の身体障害の該当する障害等級を認定する。

二 系列を異にする身体障害で障害等級表上、特にその組合せを規定しているために、同一系列とされている次の場合に、既存障害としてその一方に身体障害を有していた者が、新たに他方に身体障害を加え、その結果組合せ等級に該当するに至ったときは、新たな身体障害のみの該当する等級によることなく、加重として取り扱うものとする。

•  両上肢の欠損又は機能障害

(第 1 級の6 [ 第 1 級の5 ] 、第 1 級の7 [ 第 1 級の6 ] 、第 2 級の3 [ 第 2 級の5 ] )

•  両手指の欠損又は機能障害

(第 3 級の5、第 4 級の6)

•  両下肢の欠損又は機能障害

(第 1 級の8 [ 第 1 級の7 ] 、第 1 級の9 [ 第 1 級の8 ] 、第 2 級の4 [ 第 2 級の6 ] 、第 4 級の7)

(二)両足指の欠損又は機能障害

   (第5級の6 [ 第 5 級の8 ] 、第 7 級の8 [ 第7級の11 ]

•  両まぶたの欠損又は運動障害

(第 9 級の4、第 11 級の2、第 13 級の3)

ホ 手指及び足指並びに、相対性器官(眼球及び内耳等)で身体障害の程度を加重した場合であっても、次の場合には、以下の準則により取り扱うこととする。

•   手(足)指に既に身体障害を有する者が、同一手(足)の他指に新たに身体障害を加えた場合及び相対性器官の一側に既に身体障害を有する者が、他側に新たに身体障害を残した場合において、前記ロの方法により算定した障害補償の額(日数)が、新たな身体障害のみが生じたこととした場合の障害補償の額(日数)より少ないときは、その新たな身体障害のみが生じたものとみなして障害等級の認定を行う。

•   一手(足)の2以上の手(足)指に既に身体障害を有する者が、その身体障害を有している手(足)指の一部について身体障害の程度を重くした場合において、前記ロの方法により算定した障害補償の額(日数)が、その一部の手(足)指のみに身体障害が存したものとみなして、新たに身体障害の程度を加重したこととした場合の障害補償の額(日数)より少ないときは、その一部の手(足)指にのみ新たに身体障害の程度を加重したものとみなし、取り扱うこととする。

•   相対性器官の両側に既に身体障害を有する者が、その1側について既存の障害の程度を重くした場合に、前記ロの方法により算出した障害補償の額(日数)が、その1側のみに身体障害が存したものとみなして新たに身体障害の程度を加重したこととした場合の障害補償の額(日数)より少ないときは、その1側にのみ新たに身体障害の程度を加重したものとみなして障害等級の認定を行うこととする。

•   障害の程度を加重するとともに、他の部位にも新たな身体障害を残した場合には、前記ロの方法により算定した障害補償の額(日数)が、他の部位の新たな身体障害のみが生じたこととした場合における障害補償の額(日数)より少ないときは、その新たな身体障害のみが生じたものとみなして取り扱うこととする。

•  上記(イ)、(ロ)、 ( ハ ) 及び(二)の場合において、前記ロの方法による加重後の身体障害の等級が第7級以上(年金)に該当し、新たに加わった身体障害が単独で生じたこととした場合の等級が第 8 級以下に該当するとき(既存の身体障害の等級と加重後の身体障害の等級が同等級である場合を除く。)は加重後の等級で認定し、障害補償の額の算定にあたっては、その加重後の等級の障害補償の年額(日数)から

既存の身体障害の障害補償の額(日数)の25分の1を控除して得た額とする。


交通事故の後遺障害等級に関する相談をご希望の方は、「交通事故相談お問い合せフォーム」よりお問い合せ下さい。


copy_right.2007 行政書士事務所・交通事故ナビ