イ 調節機能障害


(ア) 「眼球に著しい調節機能障害を残すもの」とは、調節力が2分の1以下になったものをいう。
調節力とは、明視できる遠点から近点までの距離的な範囲をレンズに換算した値(単位はジォプトリ―(D))であり、これは年齢とともに衰えるものである。

(イ) 被災した眼が1眼のみであって、他眼の調整力に異常がない場合は、当該他眼の調整力との比較により行う。

(ウ) 両眼が被災した場合及び被災した眼は1眼のみであるが他眼の調整力に異常が認められる場合は、年齢別の調整力を示す次表の調整力値との比較により行う。なお、年齢は、治ゆ時における年齢とする。

年齢別の調整力

( ウ ) 「半盲症」、「視野狭さく」及び「視野変状」とは、上記エの ( イ ) のV/4視標による8方向の視野の角度の合計が、正常視野の角度の合計の 60 %以下になった場合をいう。

  なお、暗点は絶対暗点を採用し、比較暗点(V/4視標では検出できないが、より暗い又はより小さい視標で検出される暗転をいう。)は採用しないものとする。

ウ 運動障害

( ア ) 「眼球に著しい運動障害を残すもの」とは、眼球の注視野(頭部を固定し、眼球を運動させて直視できる範囲をいう。)の広さが2分の1以下になったものをいう。

(参考)

1 眼球の運動は、各眼3対、すなわち6つの外眼筋の作用によって行われる。この6つの筋は、一定の緊張を保っていて、眼球を正常の位置に保たせるものであるから、もし、眼筋の1個あるいは数個が麻痺した場合は、眼球はその筋の働く反対の方向に偏位し(麻痺性斜視)麻痺した筋の働くべき方向において、眼球の運動が制限されることとなる。

2 注視野とは、頭部を固定し、眼球を運動させて直視することのできる範囲をいう。

注 視野の広さは、相当の個人差があるが、多数人の平均では単眼視では各方面約 50 度、両眼視では各方面約 45 度である。

( イ ) 復視

a 「復視を残すもの」とは、次のいずれにも該当するものをいう。

(a) 本人が複視のあることを自覚していること

(b) 眼筋の麻痺等復視を残す明らかな原因が認められること

(c) ヘススクリーンテストにより、患側の像が水平方向又は垂直方向の目盛りで5度以上離れた位置にあることが確認されること

b 上記aに該当するもののうち、「正面視で復視を残すもの」とは、ヘススクリーンテストにより正面視で復視が中心の位置にあることが確認されたものをいい、「正面視以外で復視を残すもの」とは、それ以外のものをいう。

c 復視を残し、かつ、眼球に著しい運動障害を残す場合には、いずれか上位の等級で決定するものとする。

(参考)

1 復視とは、右眼と左眼の網膜の対応点に外界の像が結像せずにずれているため、ものが二重にみえる状態である。麻痺した眼筋によって復視が生ずる方向が異なる。

2 復視を残す場合、併せて頭痛等の神経症状を残すことが多いが、これらは復視によって派生的に生じているものであり、症状としても復視とは別途に独立して評価する必要はない程度のものである。

  また、復視の原因である眼筋の麻痺等は、「眼球の著しい運動障害」である注視野の減少の原因でもあり、「眼球に著しい運動障害」に該当する眼筋の麻痺等がある場合には、通常複視をも残すこととなる。

3 ヘススクリーンテストとは、指標を赤緑ガラスで見たときの片眼の赤緑、他眼の緑像から両眼の位置ずれを評価する検査方法である。

  例えば、右外転神経麻痺の場合、右眼に赤グラスを通して固視させると、左眼に緑ガラスを通して見た固視点は右方へ大きくずれるが、左眼に赤ガラスを通じて固視させると右眼に緑ガラスを通して見た固視点は交叉性に小さ

くずれる(後記の「複視の障害認定の際に用いる Hess 赤緑試験(ヘススクリーンテスト)」を参照)。

4 復視には、上記の両眼性のもののほか、単眼性復視がある。単眼性復視とは、水晶体亜脱臼、眼内レンズ偏位等によって生ずるもので、眼球の運動障害により生ずるものではないので、視力障害として評価すべきものである。

 

(注) 複視の障害認定の際に用いる Hess 赤緑試験(ヘススクリーンテスト) Hess 赤緑試験とは、赤い碁盤目上の Hess スクリーンを見せ、一眼に赤色、他眼に緑色の眼鏡を装用させ、 Hess スクリーン上の赤色の9か所の視標に、緑色のスポットで指示させていくものである。赤色の Hess スクリーンは赤眼鏡でのみ見え、緑色のスポットは緑眼鏡でのみ見え、右眼赤眼鏡では左眼の変位が、左眼赤眼鏡では右眼の変位が分かる。眼位に異常があれば、他眼の眼位図はずれる。眼球運動障害があれば、眼位の軌跡は障害筋の作用方向に狭くなっている。

Hess スクリーンの内側の9点を結んだ図形の一辺の長さが 75 pになるようにして、検査距離を 140 pとし、額台に頭部を固定する。検査の順序は、中心から上方へ、時計の針の回る方向に進めていき、結果を記録用紙に記載する。次いで、赤緑眼鏡を左右眼交代し、検査は両眼について行う。検査距離が異なる機種もある。

 

エ 視野障害

( ア ) 視野の測定は、ゴールドマン視野計による。(第5次改正・一部)

( イ ) 「視野」とは、眼前の1点をみつめていて、同時に見得る外界の広さをいう。

   なお、日本人の視野平均値は、次表のとおりとされている。

( ウ ) 「半盲症」、「視野狭さく」及び「視野変状」とは、上記エの ( イ ) のV/4視標による8方向の視野の角度の合計が、正常視野の角度の合計の 60 %以下になった場合をいう。

  なお、暗点は絶対暗点を採用し、比較暗点(V/4視標では検出できないが、より暗い又はより小さい視標で検出される暗転をいう。)は採用しないものとする。

 

 


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